面接では面接官から必ず聞かれる質問があります。
ここでは面接官に響く「志望動機づくり」と「想定問答」について見ていきましょう。
<40代の面接の事前準備>
1.面接日・時間・場所の確定
2.面接官・面接内容の確認
3.志望企業の研究
4.志望企業の人材ニーズと自分のキャリアのマッチング
5.想定問答
6.持参書類の準備
7.面接場所の確認・その他緊急対応の事前確認
面接準備の「企業研究編」はこちら
4.志望企業の人材ニーズと自分のキャリアのマッチング
志望企業の研究を通じて企業がどんな人材を欲しているのかが分かったと思います。ここではその企業が欲する人材像に対し、あなたがどのようにマッチしているのかを論理的に紐づけていきます。
この作業をするときはこれまでのキャリアと今後のキャリアの2つに分けて考えると良いでしょう。
(1)これまでのキャリアのマッチング
面接官はあなたのこれまでの経験・知識・スキルが自社が望む人材像とマッチするかを応募書類と面接で確かめます。
面接官はあなたの職務経歴書を見てキャリアの概要は理解しています。
面接官があなたに直接会って面接をする理由は、その職務経歴書に書かれた内容が「実際のところどうなのか?」(本当なのか?)を確かめることにあります。
「実際のところどうなのか」とは、具体的に言えば次のようなことです。
・自分から意図して(望んで)行ったことなのか?与えられたミッションなのか?
・実際にあなたがやったことは何なのか?
・なぜ、それやったのか?
・具体的にやったことは何なのか?
・成果が出たのか?出なかったのか?
面接官の質問には上記のようなことを知りたい!という意図があることを良く覚えておいてください。あなたは面接官が聞きたい内容に即して自分のこれまでの経験を簡潔に、かつ適切に伝える必要があります。
そのためには、経験・スキル・知識の関係を以下のように考えてください。
業務経験 → スキル・知識
「~の業務経験から、~のスキルや~の知識が得られた」という構図です。この関係性がしっかり説明できないと、職務経歴書に書かれている内容に疑いをもたれてしまします。大切なのは、この関係を簡潔に話せること、突っ込んだ質問があったら掘り下げて詳しく話せることです。
業務経験を整理するときには3つの軸を使ってみましょう。
「経験の幅」とは、ある職務経験の中でどんな種類の業務をしていたか?ということです。
例えば人事業務には、採用、研修、勤怠管理、給与計算、制度設計など様々な業務がありますが、そのうち実際に行ったのはどれなのか?ということです。
「経験の深さ」とは、その業務にどれぐらい深くかかわったのか?ということです。たとえば、
・自分一人で行ったのか?メンバーの一人だったのか?
・作業工程の上流だったのか下流だったのか?
・作業員だったのか?統括者だったのか?
・あなたの前工程と後工程とどれぐらい関わりあったか?
・外注のマネジメントなのか?全て自社内で行ったのか?
・連携する部署はどれぐらいか?社外も含めた関係者はどれぐらいか?
というようなことです。
「経験の長さ」は文字通りどれぐらいの年月その業務に携わったかと言うことです。1つの会社でどれぐらいなのか、またはキャリア全てを通じてどれぐらいの年数に携わっのかということを整理しておきましょう。
また経験の内容を語るときは思いついたことをベラベラとしゃべるのではなく整理をして伝えることが重要です。そのために経験の内容を次のように頭の中で整理をしておきましょう。
- その時にどのような課題があったのか?
- その課題を解決するためにどのような目標を設定したか?
- そのためのタスクをどう設定したか?
- それをどのようにタイムスケジュールに落としたか?
- それをどのように実行し、管理したか?
- 結果はどうだったか?
また、経験を数字で語れるととても有利です。どれぐらいの期間でどれぐらいの数字を向上させたのか、それが明確であればあるほどあなたの経験・スキル・知識の信憑性が高まります。
上記であなたの経験・スキル・知識が整理できたら、改めて企業が今回の求人で望む人材像を読み返し、それに対応する自分の経験・スキル・知識を紐づけておきます。
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(2)今後のキャリアのマッチング
あなたが望んでいる今後のキャリアと、応募企業があなたに望むキャリアがマッチするかを確かめます。
まずあなた自身が今後どのようなキャリアを望むかを考えます。
40代は思いつきで「~をやりたい!」と言えるような年齢ではありません。
ここであなたは今後自分が本当に何をやりたいか考えつつ、それはこれまでのキャリアとどのようなつながりがあるか?自問してください。
「~の経験をして、さらにステップアップするために~をやりたい」「前職でできなかった~をやりたい」「今の仕事で課題に思っていたことを、~のポジションで実現したい」など、これまでやっていたこととこれからやりたいことを結び付けて語れるように頭の整理をしましょう。
面接官はその一連のストーリーが見えた時、あなたの人となりを理解し、信頼感を覚えます。
次に企業が今後あなたに望むキャリアを理解しておきます。
求人要件書では大まかなことだけ書かれているケースが多いので、可能であればエージェントに聞いておくと良いでしょう。
また志望企業の研究をもとに、自分自身で想像しておくことも大切です。会社の進むべき方向性、配属部門の進むべき方向性から、あなたが進むべき方向性を想像します。
そして、あなたが望んでいる今後のキャリアと、応募企業があなたに望むキャリアがどのような点でマッチしているのかを明確にします。
運命を感じる
これらの一連の作業すると、これまでの自分のキャリアはまるでこの会社に入るために作られてきたのかもしれない、と思えるようになることもあります。
そのレベルまで達すると面接管からからどのような質問が飛んできても、あなたの頭の中から適切な経験を引っ張り出し、答えを伝えることができます。
「志望企業の人材ニーズと自分のキャリアのマッチング」は、ただ単に受かるための準備ではなく、今一度自分の来し方を考え、それと自分が入ろうとしている企業が本当に合っているのかを確かめ、より一層志望動機を明確にするフェーズでもあると覚えていてください。
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5.想定問答
面接の流れはおおむね以下のように進みます。
(1)自己紹介
(2)志望動機
(3)キャリアに関する質問
(4)志向・思考に関する質問
(5)勤務条件に関する質問
(6)応募者からの質問
これらの質問に対して簡潔にかつ的確に答えられるように聞かれることを想定し、それに対する答えを用意しておきます。
(1)自己紹介
面接官はあなたの履歴書・職務経歴書を見てキャリアの概要は理解しています。
なぜわざわざ自己紹介をさせるのかというと、その人の「人となり」を見たいからです。
礼儀正しい人なのか?しっかりとした話し方ができるのか?相手の立場に立って話すことができるのか?エネルギーが感じられるか?自信があるか?内気なのか外交的なのか?などです。
それらを
- 話す姿(表情・態度)
- 話し方(声の大きさ、話す速さ、滑舌)
- 話す中身(シンプルであらかじめしっかり決めてきているか)
から判断します。
良い第一印象を残せるよう話す中身とともに、どのような表情・態度で話すかもしっかりシミュレーションしておきましょう。
後からキャリアなどの質問があるので、この時点で話すことは最低限で大丈夫です。概ね以下の内容をシンプルに話しましょう。
- 自分の名前
- 現在勤めている会社と携わっている職務内容
- 志望動機
自己紹介で見ているのは「人となり」なのでくどくど話す必要はありません。
特に2と3の話が長くなりすぎないよう注意しましょう。長くてもすべてを1分以内にまとめるぐらいが良いと思います。
自己紹介は最初の滑り出しなのでスムースに話せるように話すことを一字一句あらかじめ決めておいてください。
そして詰まらないで話せるようになるまで練習を繰り返してください。実際に発声するのがベストですが、難しければ心の中で発声して練習してください。
その際にストップウオッチを使って時間を計りながら練習するのがおすすめです。また練習をしながらよりスムースに話せるようセリフも修正していきましょう。
(2)志望動機
自己紹介が終わると、
「今回はなぜ当社にご応募いただいたのですか?」
という志望動機を聞かれる質問が来ることが多いです。自己紹介の時に志望動機を簡略的に話していると思いますが、ここではもう少し詳しく話します。要素としては以下です。
- これまでの自分のキャリアで得てきた経験・スキル・知識の要点
- 今後自分がキャリアで実現したいこと
- 今回の応募企業・求人案件がどのような点で1.2とマッチしているか?
勤務条件の改善が目的の転職であっても上記の要素は必ず入れておきましょう。この場面で勤務条件の改善だけを語ったらまず合格はないと思ってください。前職の勤務条件が本当に悪すぎる場合は多少語っても構わないですが、くどくど語るのではなく、最小限にしておくことをお勧めします。
また、3の「今回の応募企業・求人案件がどのような点で1.2とマッチしているか?」は、「自分にとって御社が理想的」という視点と「御社にとって~の点で私が役立てる」という双方にメリットがあることをどのように語るかを考えましょう。
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(3)キャリアに関する質問
キャリアに関する質問は面接官によりやり方がかなり異なってきます。大きくは2つに分けられます。
- 一問一答形式
- ストーリーで語る形式
【1.一問一答形式】
一問一答形式は、経験、スキル、知識ついて都度質疑応答があるタイプです。
要点を押さえて答えられるように、これまでの業務経験を以下の観点で整理しておきましょう
- 仕事の目標・成果
- 仕事のプロセス
- 具体的タスク
- 自分の役割、自分のやっていることと他者を動かして行うことの区別
- タスクにおけるコツ・ポイント
その際、数字を入れて語れると圧倒的にリアリティー・説得力が増しますので、しっかり調べておきましょう。
あなたの過去の事実を具体的かつ正確に語れるように整理することも大切ですが、あなたのスキルや知識を問う「仮説の質問」にも的確に答えられるように準備すること大切です。
例えば、
「全く会うことができない顧客にアプローチするときはどうしますか?」
「新たな企画を立案・推進する時にどのようなプロセスで進めますか?」
「~の業務を行うとき、大切なこととその理由を教えてください」
というような質問です。
このような質問があった時は、一般論的な回答をするのではなく自分の経験をベースに答えられることがベストです。例えば
「私の経験では~のようなことがありました。その時は~をしてうまくいきました(うまくいきませんでした)。なので~をするときは~をすることがポイントだと思っています」という感じです。
【2.ストーリーで語る形式】
「これまでのキャリアの概略をお話しいただけますでしょうか?」というような質問形式です。
この場合は話し方に注意が必要です。すぐに返答するのではなくどのように話せばいいか面接官に確認をしましょう。たとえば、
・すべてを時系列で話せばよいのか?
・経験した会社と職種だけでよいか?仕事の中身も詳しめに話した方が良いのか?
・複数のキャリア(営業・技術・管理など)を経験している場合、今回の募集職種に関するキャリアだけ話せばよいのか?
などです。
上記のどのパターンで聞かれても適切なボリュームで話せるよう想定しておきましょう。簡単に言えば、ざっくり話すならこれとこれだけを話す、少し詳しく話すならこれとこれも話すなどです。
予め想定していないと面接現場で都度考えることになり、冗長になって面接官を飽きさせたり、逆に大切なポイントを伝え忘れて物足りなく感じさせたりするので注意が必要です。
また、一問一答形式とストーリー形式のハイブリッドで次のような質問もよくあります。
「これまで最も印象に残った仕事はどんなことがありますか?」
「これまで最も大変だった仕事はどんなことがありますか?」
「これまでの最大の成功経験をお話しください」
「これまで自分で企画して推進した仕事で最もうまくいったことをお話しください」
「これまでの失敗経験で印象に残っていることをお話しください」
これらの答えは先ほどの「仮説の質問」と同じように答えると相手に分かりやすく伝わります。
「私の経験では~のようなことがありました。その時は~をしてうまくいきました(うまくいきませんでした)。なので~をするときは~をすることがポイントだと思っています」
という感じです。
つまり「経験の事実」と「そこから学んだポイント」を合わせて答えられれば説得力が増します。そのためには日ごろから仕事を「WHY」「WHAT」「HOW」の軸で考える癖をつけると良いでしょう。
- WHY・・・ なぜそれをするのか?(何のためにそれをするのか?)
- WHAT・・・ 何をするのか?(やるべき項目)
- HOW・・・ WHATの各項目の具体的なやり方は?
この思考で仕事をしていると、仕事がうまくいくだけでなく「うまくいくためにはどうすればいいか」を他人に分かりやすく語れるようになります。
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(4)志向・思考に関する質問
あなたがどのような人間性なのかを探る質問です。
如何に経験・スキル・知識がある人でも、他の社員とうまくやっていけなかったり、トラブルをおこしたり、新しい環境を受け入れられない人は早期離職につながるため採用できません。
特に40代は職務経験も長く、仕事に対するプライドや自分なりの基準を持っていることが多いですが、それにこだわるあまり新しい環境で軋轢を生むことも少なくありません。企業文化が違う会社に転職する場合はなおさら注意が必要です。
老舗企業とスタートアップ企業では常識が全く逆のこともありますし、BtoBビジネスかBtoCビジネスかでも大きく違います。また業界による違いも当然あります。
そのため面接官は、40代のビジネスパーソンとしてふさわしいかという視点と、「当社の企業文化(社風)になじめるか?」という視点であなたの志向(望むこと)を思考(考え方)をチェックします。具体的には以下のようなことをいろんな質問から探ります。
・主体性があるか?
→自分で課題を作り、人から言われなくとも自分でやり始めるか?他責にしないか?
・チャレンジ精神があるか?
→難しいこと、今までやったことがないことに対しても前向きに取り組めるか?
・柔軟性があるか?
→自分と違う考え方を受け入れ、対応できるか?
・協調性があるか?
→職場の和を尊び、人に合わせることができるか?
・継続力があるか?
→一度やり始めたことについて、さまざまな障害が出てきてもあきらめずにできるまでやり続けるか?
・忍耐力があるか?
→いやなこと、納得のいかないことがあってもぐっと飲み込めるか?
実はこれらの内容は面接官が面接の中で判断すべき事項の中で最も難しいものです。
具体的な聞き方としては、キャリアに関する質問の中で判断することが多いと思います。ある仕事・プロジェクトでの経験を掘り下げて聞くことで上記を判断するのです。
ですが、面接官によっては「仮説の質問」で上記を探ることもあります。
例えば、
「あなたの仕事上のポリシーと異なる業務命令があった時はどうしますか?」
「今までやったことのない仕事を依頼されたらどうしますか?」
というような質問です。
本質的なことをお伝えします。
これらは「答え方」を事前に想定することでクリアできることではありません。
面接官はあなたが答えた内容だけでなく、答えるときの表情の変化や会話の間も含めてチェックしています。答えを作ってもなんとなく雰囲気で察知します。
つまり対策としては、日ごろから上記を意識して職務に取り組むことが大切なのです。
そして、40代の採用で面接官が最も気にするのは「柔軟性があるか?」だと思います。これさえあれば、企業文化が違っていてもなんとかやっていけるからです。
あなたはいつの間にか自分の常識に囚われた「融通の利かない人」になっていませんか?
転職は大きな環境変化です。あなたの納得のいかないことが「必ずや」出てきます。転職後に不幸にならないためにも、相手をおもんぱかり、相手を尊重し、柔軟に対応する心を日ごろから意識することが大切だと思います。
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(5)勤務条件に関する質問
勤務条件の主な質問内容は以下のとおりです。
- 通勤が無理なくできるか?
- 転勤が可能か?
- 希望の処遇はどれぐらいか?(現状からのダウンでも大丈夫か?)
- 残業が可能か?
- 子育て、家族の介護等で何か職務上の配慮が必要か
- 持病等で何か職務上の配慮が必要か?
- 転職に関する家族の理解が得られているか?
- 将来の職種転換・異動は可能か?
- 転職可能日は?その理由は?
40代になると家族の事情等、一人一人異なった様々な制限が出てきます。面接に受かりたいあまりウソの答えを言っても後から不幸になるのは自分です。
自分自身の環境をかんがみてどこまで許容できるかをよく考えて返答内容を決めておきましょう。
希望の処遇に関しての答え方は諸説ありますが、求人条件書の内容を把握した上で自分が許容できる範囲を希望としつつも、御社の規定に順ずるという答えが無難かと思います。
(6)応募者からの質問
面接の終わりに「何か質問はありますか?」と聞かれたとき、どのような質問をするかでその人の思考がわかります。
一般常識として、この時点で処遇に関して深く聞くのは避けましょう。気になる場合はエージェントなどを通じて聞くことをおススメします。
この場では、質問を通じてあなたの前向きさをアピールすることを主眼に置くといいと思います。たとえば、
- 今回の募集人材に求めること
- 応募企業で活躍している方の特徴
- 配属予定部門の課題、その取り組み状況
- 一緒に働く仲間のキャリア、部門の人員構成、その中で自分に求められる役割
- 入社してまず初めに取り組む仕事・課題
などです。
つまり、「会社が私に何をしてくれるのか?」という視点ではなく「自分は御社に何をしていくべきなのか?」という視点で質問を考えるということです。
ここは他の応募者と差をつける絶好の機会と認識して、戦略的に質問を考えてみましょう。