1月の三連休の最終日。
海に出ようかと思ったが微風のようだったので、運動不足解消のため自転車で遠出することにした。
自転車で遠出となると鎌倉から海岸線を茅ヶ崎方面に向かうのが定番なのだが今回は思い切って三浦半島の真ん中を超えて、横須賀辺りまで行ってみることにした。
途中、アップダウンはあるものの比較的順調に進み1時間程度で三浦半島の東側、国道16号線に出た。
車でなら何度も来たルートだが自転車で走ると感覚がかなり違う。
一言で言えば印象の密度が違うのである。
16 号などは車なら狭い2車線を他の車と競争でもするかのようにすっ飛ばして、目的地に早く辿り着くことだけが目的の、ただのストレスフルな通り道だ。
だが自転車でえっちらほっちらこいでいると、アップダウンや周辺の建物や小道、自然など一つ一つの景色や印象が心に入ってくるのである。
そして自転車は圧倒的に自由度が高い。
何か気になったらちょっと止まったり、気軽に寄り道できる。
田浦の先、16号のいくつかのトンネル抜けたところ、きっと海に近づけるであろう小道にふと入ってみた。
すると公園に出た。吉倉公園。
地元の親子が楽し気に遊んでいた。海が見えるかもしれないと思い、公園の奥に進むと芥川龍之介の文学碑があった。
ちょうどこの辺りで芥川龍之介本人が横須賀線の中で体験した出来事を小説にした「蜜柑(みかん)」という作品があるらしい。
彼が海軍機関学校の教官をしていた時、鎌倉の下宿から横須賀の学校まで、横須賀線で通っていたのだ。
公園の奥側を横須賀線が通る。芥川の頃は当然汽車だった。
さて、グーグルマップで周囲を確かめると、海はすぐ近くである。
だが、ここからは見えない。
このあたりの高台に登れば間違いなく横須賀の軍港が見えるはずだ。
マップで見つけた港が見えるであろう高台の公園に寄り道することにした。
安針台公園。
地元のファミリーが楽し気に遊ぶ、のどかな公園だ。
奥に進むと、フェンス越しではあるが横須賀軍港の景色がわっと広がる。
護衛艦もがみ型の2番艦「くまの」。
敵のレーダーに反応しにくいように平面的な外観になっている最新のステルス艦だ。
従来型の艦艇もある。艦名はわからない。
護衛艦「いずも」。現在海上自衛隊が保有している艦船の中では最大の艦型だ。
奥には米海軍の艦艇が見える。
たまたま見つけた場所からこんな景色を見られると、何か得した気分になるものである。車で来ていたらこんな気まぐれの寄り道はできない。
つづく