横浜で人間ドックを受診して、時間が余ったので何かないかなーと思って「横浜・観光」で検索してみると、キリンビールの工場見学が出てきた。
予約制ということだが、平日ならと思って電話してみると空きがあるとのことでその場予約をした(当日でなければネットの事前予約も可能)。
工場は京急の生麦駅にある。
あの生麦事件が起こったという生麦である。
京急生麦駅から歩いて10分程度だろうか、工場の近くには生麦事件の碑がある。
そこからすぐ近くの工場では建物の入口で係の方が見学者のお出迎えのために待機していた。さすが一流企業である。
中に入って受付を済ました後、自販機で見学チケット(500円)を購入し、時間になるとホールに通される。
間もなく説明スタッフのお姉さんが現れて映像視聴が始まる。
聞くところによると説明スタッフのお姉さんもビールが大好きと言うことである。ビール好きのお姉さんということだけで、俄然好感度は高まってしまうのである。
日本におけるビール製造の歴史、一番搾りの理念などを何も見ずに流暢に説明してくれる。
それが終わるとまずはビールの原材料の実物に触れてみる体験である。
初めは大麦である。ビール用の大麦は二条大麦というらしい。
参加者一人ずつにお姉さんから少量を分け与えられる。
もみ殻?ごと食べれるのだが、噛んでみると香ばしい香りと、ちょっと驚くくらいの甘味を感じるのである。
そしてホップである。
こちらは割って出てくる黄色い粒の香りを嗅ぐ。非常に鮮烈で爽やかな香りがするのである。
なるほど、大麦の香りとホップの香りが混ざると確かにあのビールの香りになりそうである。
ホップの味を確かめたかったのだが、食べるのはダメらしい。おそらく、口を付けたのがそこらへんに散らばるのが衛生上よくないのだろう。
それが終わるといよいよ工場の心臓部である釜を眺められる廊下に出る。
釜の見えている部分は一部で、下に大きい構造になっているらしい。
その釜に麦と水を入れて煮て?「もろみ」にするそうである。そのもろみを搾って出てくる液体がいわゆる「麦汁」と言うものだ。
その釜の近くで麦汁の試飲体験がある。
一番搾り麦汁と二番搾り麦汁の違いを体験するのである。
当然濃い方が一番搾り麦汁、薄い方が二番搾り麦汁である。
一番搾りは、もろみから最初に絞った麦汁、二番搾りは一度搾った後のもろみに水を足してさらに搾ったもの、らしい。
通常、一番と二番をブレンドして使うらしいが麒麟の「一番搾り」はその一番搾り麦汁のみを使って作ったビールということなのだ。
実際に飲み比べるとわかるのだが明らかに一番搾り麦汁の方が濃くて甘い。砂糖水のように甘いのである。
二番搾りは一番搾りを水で薄めたような味である。
ただ、一番搾りだけはとても濃いので、二番も混ぜること自体が低級というわけではないと言うことはなんとなく分かった。
その麦汁にビール酵母を加えると、その糖分をエサにしてアルコールと炭酸ガスが発生し、若ビールというものになる。
それを適度に寝かせればビールの出来上がりらしい。
その後、封詰工程などを見学した後、お楽しみの試飲タイムである。
まずはノーマルの一番搾りを一番搾り専用グラスでいただく。
この一番搾りを最高の技術でサーブできるマイスターとしての資格を持ったスタッフが参加者1人づつに丁寧に注いでくれる。
そしていよいよ飲むのである。
もう、能書きはどうでもよいのである。
一口、ビールを口に含むと、刹那のうちにスーーーッと体の中に入っていってしまうのである。
後は勝手にゴクゴク、ゴクゴク、と行ってしまって止めることができないのである。
30秒後にはグラスは空になっているのである。
できることならジョッキでいただきたいと思ったのだが趣旨が違うのである。
この試飲の間も、一番搾りののど越しの良さの秘密をお姉さんが一生懸命解説してくれるのだが、グラスを空けてしまった私には馬の耳に念仏なのである。
物足りなさ満点の気分でいたところ、なんとこれから一番搾り3種の飲み比べが始まるというではないか。
さすがキリン様、見学者をビール一杯で返すようなことはしないのである。
いそいそと運ばれてきたビールは一番搾りのノーマル、プレミアム、黒生の3種である。
今度は味わって飲もうと、勝手に喉の奥に流し込まれないよう、慎重に口に含むのである。
なるほど、これはそれぞれに旨いぞと、一番搾り、素晴らしいぞと満ち足りた気分になって試飲は終わったのである。
その後、毎月ビールを届けてくれるビールサーバー試飲会のご紹介などを経て解散になる。
尚、工場見学者がキリンのLINEのお友達申請をすると、一番搾り専用グラスがその場でプレゼントされちゃうのである。
早速家で使ってみたのだが、泡立ちがよく、ビールを注ぐ時の音がまた素晴らしいのである。
たった500円でビール4杯も頂ける(3杯は試飲用のミニグラスだが)上に、貴重な体験やお話も聞ける、実にお得な工場見学であった。
今度は誰かと一緒に行ってこのうれしさを分かち合おうと思った次第である。
以上