徳洲会の創設者徳田虎雄氏が逝去してはや2ヶ月が経とうとしている。
最期を迎えたのはこの物語の中にも出てくる湘南鎌倉総合病院だった。
15階建の堂々たる威容を誇る。
ロビーは自然光を採り入れる非常に高い天井で、開放感が抜群だ。
自分も原付で事故を起こした時、移転前の旧湘鎌に救急車で運び込まれたことがある。
レントゲンを撮る時、技師に体を保持されながら撮影されたのだが、先輩技師が強い口調で新米技師?を指導していたのを覚えている。
徳洲会の原点は僻地の救急医療の普及にある。
そこに拘った理由は徳田氏が幼少の頃自分の弟を急病で亡くした経験にある。
湘南鎌倉総合病院も別棟として大層立派な救命救急センターが後から増築されている。
また、徳洲会の体育館が湘南深沢にあるのだが、移転なのか、手広の近くにこれまた大層立派な体育館が建築中である。
この壮大な医療グループを一代で築き上げた徳田虎雄の一生をドキュメンタリーとして書き上げたのが本書である。
「生命だけは平等だ」の大義を掲げ、多くの優秀な人材を引きつけて仲間を増やし、気に入らなくなれば躊躇なく切る。
大義の実現の為に政治に入れ込み、目的達成の為には非合法な手段にも手を出す。
正に毀誉褒貶(きよほうへん)の極みと言える人生を歩んだ徳田氏の物語が面白く無い筈がない。
倫理的な問題はさておき、物事を進めるパワーや、他人を気にせず自らの大義の実現に邁進する潔さに、勇気と自由な思考を喚起させられる作品であった。
以上